いえないコトバ
「なあ、俺のことどう思ってるん?」
*****
ちょうど部活も終わって帰るころ…
皆が帰って誰も居なくなった部室で先輩が俺をまってくれている。
「あの…遅くなると思うんで先に帰ってもらってていいですよ。」
ある意味そこで立っててもらわれるととっても気まずいし…
「あぁ、俺のことは気にせんと早よう用事済まし」
何でこの人はこうなんだろう…
これでも先輩とは恋人のような関係だったりする…(///
前から先輩は俺が自主トレするときとかにこんな感じで待っていてくれる。
何でここまでしてくれるのだろうか…
恋人だから?
『恋人』って…何?
「なぁヒヨは俺のことどう思ってるん?」
ふと出てきた先輩の言葉……
意味が分からない…
どう思ってるって…それは…
「どうって、先輩は先輩ですけど何か?」
― 言えない…だって恥ずかしいから…
今は…今の自分には恥ずかしすぎて死にそうになる言葉。
― スキ ―
先輩は容易く言える言葉でも…
俺にはどう言っていいのか分からない…
「最近ものすごく不安になるんや、もしかしたら…
俺だけが好きでヒヨは俺のことなんか好きやないんかもしらんって思えてな」
何を突然言い出すのだろうこの人は…
好きじゃないわけがない…
でも…
「何をいきなり言い出してんですか?ついに頭まで駄目になりましたか?」
― あーぁ。
なんで俺はこういうことしか言えないんだろうか…
「なんやヒヨは冷たいなぁー」
あははっと笑う忍足先輩を見ていると胸の辺りが痛む…
なんだろう…この痛みは…
「ヒヨがどう思うとるかは知らんけど
俺はヒヨのことを一番に想ってる…大好き…それだけや」
先輩の言葉にどんどん痛みが強くなっていく。
さっきから俺はどうしてしまったのだろう…
自分が無くなっていく様な気がする…
先輩は俺のことを想ってくれている…
俺はこの人が好きで…でも、想うだけでは伝わらない……
たぶん、先輩が不安になってるのも俺が好きだと言ったことが無いからだと思う…
恋人を不安にさせて、何をしているのだろうか…
たぶんもう俺のプライドはこの人に崩されまくっているだろう。
昔の俺なら絶対に言わないと思う…
と言うかこれっきりが良い。
「忍足先輩…そんなに不安にならなくて良いですよ。
俺ちゃんと先輩のこと好きですから……」
びっくりしたような顔の先輩。
きっと自分はこの人が好きすぎてどうにかなってしまったんだ…
「だ…だから不安にならないで下さい
…と言うか俺がこんな事言うのも最初で最後ですからね。」
「あははっ!そやな、ごめんなヒヨ心配かけて。」
とか言って俺に抱きついて来た…
今日はいろいろあって疲れたから抵抗するのもめんどい…
「今日だけですよ先輩…次からはきっと殴りますから…」
気づいたときには胸の痛みは消えてすっきりしていた
あれはきっと好きと言えない心の一部だったのだろう…
「忍足先輩…大好きです。」
それは誰にも聞こえない程の小さな声の告白でした…。
(07.07.09)
(管理人より)
無理やり貰っちゃった感じでごめんね。
メッチャいい感じに書けとるじゃん!
羨ましいな…。
忍ヒヨ、大プッシュもいいけど…忍ちょも頼む!(ぇ
また、素敵作品待ってるから♪
ホンマにありがとー